今西:その点では、メカデザイナー陣の尽力にも負うところが大きいですね。例えばカトキさんはプラモデルの監修なんかもなさるし、もともと立体感覚に秀でてる方なんですよ。ずっとガンダム世界に興味を持ってきた人だから、以前からあたためていたものがあらかじめあったんでしょう。それに手を加える形で、2、3日でデザインを上げてくれました。手書きのアニメーションでは「線が多すぎる」とかの制約でブレーキ踏まざるを得なかった部分を、思い切り出してくれたんです。おかげでムサイなんか、キライな人も多かったらしいんだけど「今回ので好きになりました」って声もあって「よしよし!」と(笑)。
カトキさんだけじゃなく、出渕さんも藤岡さんも荒牧さんも、もはやガンダム世界に関して細かく掘り下げずにいられない人たちじゃないですか。出渕さんなんか、自分でリファインしたノーマルスーツのCGにまで、すごく感心してましたよ。ヘルメットのアップとか、セルだとどうしてもペタっとした感じになっちゃうんだけど、CGだと本当の立体感があって「ああ、こう見えるのか」って。
それと、今回の僕の表現方針として「少しアナクロニズムを入れるんだ」っていうのがあったんです。あのノーマルスーツにしても、ヘルメットとか映画の『ライトスタッフ』かと思うでしょ?(笑)そのへんの感覚を「ああ、あの服ですね」で解ってもらえる人たちだから、いい形で転がせたんだと思います。もっとも荒牧さんなんか、最初の打ち合わせでは困ってたけどね。「アナクロだからカッコよくしないで下さい」って言ったら「いや、普通はカッコよくしてくださいでしょ?」って。
でもその「カッコよさ」って言葉のニュアンスは、1話と2話を観てもらえば解ると思うんですよ。今風のスマートなロボットがカンフーばりのアクションを見せるんじゃなく、2話のザクなんか、ただ銃持ってドスンドスン走ってるだけで。それをカッコイイって言うのかどうかはともかく、結局「何してるのか」が面白いって話ですからね。その点、荒牧さんは自分でも監督やる人だから、勘どころをすぐに理解してくれました。あ、そういえば今回のスタッフ、監督経験者だらけだな。
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