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バンダイホビー事業部:狩野義弘氏×岸山博文氏×内田巧氏
狩野義弘氏×岸山博文氏×内田巧氏当HPを閲覧している、親愛なるジオン軍人の諸君! あと、連邦派だけどプラモが大好きな諸君も! すでにご存知の向きもあるかと思うが、来る2006年6月、永きに渡る我々の宿願は遂に果たされることとなった。「1/144スケール ヅダ」のプラモデルが、ガンプラ戦線の主力ブランドのひとつであるHGUCで、満を持して発売の運びと相成ったのである! そこで今回のスペシャルインタビューでは、この記念すべきプラモデルを開発したバンダイホビー事業部より、「ガンプラのエライ人」こと狩野義弘氏、岸山博文氏と、開発担当者である内田巧氏をお招きし、その魅力を存分に語って頂いた。もちろん驚愕のキット内容も微に入り細に渡ってお伝えするので、いざ刮目して見よ!
……いや、マジでスゴイっすよコレ!(本文中敬称略)

「我々は3年待ったのだ!」
『IGLOO』に寄せる、開発陣の熱い想い

-------いやぁ、遂に出ましたねぇ。「1/144スケールHGUCヅダ!」
岸山:出ましたねぇ。
狩野:出せましたねぇ。
内田:出せましたよ!
-------やはり皆さん、感慨深いものがおありのようですね? 当HPの情報網によれば、「バンダイホビー事業部の開発陣は、『IGLOO』にかなり思い入れがあるらしい」とのことでしたし。
狩野義弘氏狩野:なにしろ3年まえに『一年戦争秘録』を初めて観て以来、ずっと感心しっぱなしでしたからね。実を言うと僕は、最近のアニメに出てくるCGのロボットって、あんまりカッコイイと思わないんですよ。派手な変形とかしても、「そりゃCGで確認してるんだから、ちゃんと変形して当たり前だよ」としか感じないし。その点『IGLOO』は、演出にもCGならではのカッコ良さが、ちゃんと活かされてるじゃないですか。サラミス打ち上げのパノラマ感とかHLVの物量感には、手描きのアニメにはない説得力がありますよね。
内田:僕も映像を観て惚れ込んじゃったクチです。ヅダも機動力やスピード感の演出がハンパなくて、自分でも立体物が欲しくなっちゃっいましたし。
狩野:物語も、いい意味で暴走しまくってるじゃないですか。1話の主役メカが大砲って、フツウあり得ないですよ(笑)。なのに、それについて来るファンの度量がまたスゴイ! ガンダムも10年かけて「ここまで来たか!」って感じですよね。
-------じゃあ結構早い段階から、プラモデル化は「やってみたい!」と?
狩野:気持ちとしては、もちろんありましたよ。実際、EXモデル(※ややマイナーなメカたちを、こだわりの再現性で立体化したブランド)で発売したサラミスやムサイなんか、もろに『IGLOO』テイストだし。
内田:MG(※HGUCと並んでガンプラの中核を成す1/100スケールのシリーズ。内部構造にまで及ぶ精密なディテールと、高度な可動ギミックを誇る)ボールにシャークマウスをシールでつけてIGLOO版ボールの商品企画案も出てましたしね。
岸山:ヅダに関しても、実は『一年戦争秘録』の頃から「松戸限定プラモデルを、FGブランド(※『機動戦士ガンダム』TV放映当時のフォーマットを踏襲し、フォルムを重視したプラモデル・ブランド。パーツの色分けなどがされていないぶん、低価格に抑えられている)で発売できないか?」という打診はあったんです。ただ、やはり当時は単館上映でしたから、潜在的な購買者数が見込めず、実現しなかったんですね。もっとも、当時そういう商品が成立していたら、いまになってこういう「なるほど納得!」な商品は作れなかったでしょうから、結果論で言えば「あの時出なくて良かった」と言えるのかもしれませんけど。
-------では、なぜそのヅダが、いまになってHGUCで発売できたんです?
岸山博文氏岸山:やはりDVDと『黙示録0079』のリリース、レンタルの開始で、作品自体がよりメジャーになって来たのが大きいです。ザクというオーソドックスなMSとヅダがどう絡むのか、それを多くの人が観られるようになったことで、ヅダの魅力も伝わっていくはずだと。
狩野:あと、実は全然関係ないようで、MGギャンの発売も追い風になってるんですよ。我々の送り出すプラモデルではストーリー的な演出はできませんけど、そのかわりリリースの演出にはこだわっているんです。解りやすい話で言えば、「νガンダムが出たらすぐにサザビーを出そう!」とか。その点ギャンの場合、「ヅダならツィマットつながりでアリだろ!」と。
-------なんか、あらゆる面で「我々は3年待ったのだ!」とか、そんなカンジだったワケですね(笑)

「コレは、イイものだぁ!」
既存の枠を超えた超絶ディテール

-------では、いよいよそのHGUCヅダの見どころについて伺います……って、なんかコレ、パッと見だけでもかなーり細かくありません?(写真参照)
「1/144スケールHGUCヅダ!」
内田:そうなんです! 今回のヅダは、まず表面ディテールに徹底的にこだわっているんですよ。例えば腰のフロントアーマーには、CGモデルに入っていた「L-1/R-1」っていう小さな刻印がちゃんと入っていますし、機体の各部に入る白いラインも、コンマ1ミリという細さですべてモールド(彫刻)表現してあります。それと、背中の大型ノズル内部には、レーザー加工という新技術を導入しています。凸型彫刻に優れているので、繊細なフィンのモールドをお楽しみ頂けますよ(写真参照)。
-------うっわホントだ! この精密感は、ちょっとスゴイですね。
狩野:実は内田は、奇しくもヅダと正式採用を争った旧ザクのHGUCも担当しているんですが、こうやって並べたとき(写真参照)一番違って見えるのは、やはりそこですよね。ディテールの密度感が、ちょっと現実の兵器の模型っぽいというか。ただ、実はここまでモールドが細かいのには、別の理由もあるんです。ヅダをキット化するにあたっては、当然「何番機にするの?」って話になるじゃないですか。でも、予備機以外は迷彩があるんですよね。
内田巧氏内田:部品分割で色分けできなくはないんだけど、そうすると恐ろしく組み立てにくいモノになっちゃうし、さりとてシールで再現しようと思ったら、すごい値段になっちゃうし。それで今回は、予備機をリリースしたんです。
狩野:ただ、予備機だからって表面がツルツルのままリリースしても「それじゃヅダの雰囲気は出ない!」と。じゃあそのぶん「表面のモールドは細かく入れていきましょう!」という判断ですね。
岸山:それに、やはり『IGLOO』という映像作品自体も、そういうディテールの細やかさがひとつの魅力ですから。HGUCシリーズには「アニメで活躍したMSのイメージを再現する」という統一コンセプトがあるんですが、その文法に引き寄せるとこの魅力はスポイルされちゃうんで、だったらいっそ「見たまんまの凄味を追いかけるべ!」と(笑)。
内田:そういうディテールの点では、ほかのMSと違って「3DCGのホンモノがある」というのが、すごく有難かったですね。
狩野:でも僕の経験から言えば、CGだと演出の力でカッコ良く見えたモノが、そのまま立体にすると「アレ?」っていうケースも多々あるんですよ。映像はカメラアングルと照明で見せるものだから、それは当たり前と言えば当たり前なんですけど、画面のMSがどんなに大きく見えたって、プラモデルは小さいのがちょこんとあるだけですからね(笑)。さりとて立体で画面での雰囲気が出てなかったら「それでいいの?」となっちゃいますから、スタンドやエフェクトパーツでスピード感を強調したり、肩を怒らせたり顔を大きくしたりといったディフォルメーションが要求されるんです。このへんは車の模型とかでも同じことなんですが、もっと恣意的にやっていかないとキャラクター性が出せません。
内田:ただ今回のヅダに関して言えば、元CGの整合性が高かったせいか、そういう苦労はほとんどありませんでしたね。設定画像レベルでも劇中の印象レベルでも、そっくりなモノに仕上がっていると思います。

「ナニやってんの!」「やってますよ!」
漢・内田氏、愛ゆえの大暴走!?

-------逆に、プラモデル化に当たって苦労した点と言うと?
内田:スタイリングやディテールとは逆に、ギミック面ではプラモデル的な修正が結構必要でしたね。関節の可動なんかはCGだと演出上のウソがあったりするので、関節内部の限られたスペースでそれをどう組み込むかとか。とくに肩のギミックには注目して欲しいですね。4重関節になっていて、ポーズの自由度はかなり高いですよ。
-------どれどれ(動かしてみて)……おぉ! 肩のブロックが、丸ごと胴体に乗り上げるような動きも可能なんですか!
内田:ええ。さらに、腕の部分は脛の武器をちゃんと取れるように、伸縮可能になってるんです……ホラ!
-------すげーっ!! いやコレ、ぶっちゃけ旧ザクより性能は上に見えますよ!(笑)
岸山:いや、この旧ザクだってね、かつてのガンプラと一緒で、ラインアップ中ではかなり進化したキットなんですよ。昔のキットだって、ザクは足首が動かなかったのに、旧ザクは足首どころか肩まで前後にスイングできたじゃないですか。やはり旧ザクは人気の点で、ラインナップ中では後発に成らざるを得ないんですが、そのぶんノウハウの蓄積がすごいんです。だから今回のHGUCだって、確実にザクよりは進化してるハズなんですけど、その旧ザクと比べてコレですもん。……そりゃ怒られるよね、内田くん!(笑)
-------怒られた?
内田:「HGUCなのに、MGみたいじゃん!」って。まあ、有り体に言えば「やり過ぎだ!」と。
岸山:ちなみに、部品点数はどのぐらい?
内田:旧ザクを1とすれば、1.3倍ぐらいはあります。
------確かに、見た目上は3倍ぐらいありますもんねぇ。
内田:いや、3倍はありませんよ!(笑)
狩野:でも全身モールドだらけだし、モノアイシールドもクリアパーツで、おまけに中のカメラが動いちゃうんでしょ? どう見てもやり過ぎだって。
岸山:でもまあ、おかげで営業サイドもブッたまげてたしね! 普通は営業って、僕ら開発陣には「こんなのそんなに売れないよ」とか、厳しいことしか言わないものなんですよ。ヅダも企画段階ではそう言われてたんですけど、モノを見せたら「……コレは行けちゃうと思う」って(笑)。逆に彼らのほうから「もうちょっと数作れない?」っていう打診があったぐらいですから。
狩野:まぁ、お金もかかってるからなぁ。
内田:ぶっちゃけ、金型代はかなり行ってますね(汗)。長〜く売っていかないと、回収できないかもです。
狩野:やっぱりヅダだけに、そういう定めにあるんだよ。「こういう風にお金使っちゃダメ!」っていう、いい見本(笑)。
-------じゃあそれこそ、『IGLOO』ファンはひとりで4機は買って、戦線を支える必要がありますな!
狩野:小学生が「わ〜いヅダだぁ!」って、4個買いしててもイヤだしね(笑)。そのぶん大人なファンの皆さんには、大人らしく4個買いして頂きたいと!
-------しかもこのモールドじゃ、金型のコンディションがいいうちに買わないと危なくないですか?
内田:あ、それあります! ファーストロットで買うのがオススメです。
岸山:最近の若いプラモファンは、そういう感覚って解らないかもしれないけど、結構違うんですよね。繊細なものほど、型のコンディションは大事ですぜ。

「あと10年は戦える!」
開発陣からサンライズへ、魂のメッセージ

-------しかし聞けば聞くほど、『IGLOO』という作品の暴走っぷりが、更なる暴走を呼んでる感じですね。ぶっちゃけここまで来ちゃえば、戦車や大砲も期待してOKってコトっすか?(笑)
狩野:いや、それはもう気持ちとしては、売れるならどんどんやりたいですよ!?ただ僕らのほうとしても、独りで突っ走るワケには行かないじゃないですか。むしろ僕なんか、「『IGLOO』って『黙示録0079』で終わりなんですか?」と、逆にお聞きしたい!(笑)やっぱりあのぐらい本気の映像を見ると、「この火は消したくないな」って、思うじゃないですか。
岸山:このヅダにしても、そういう熱気に当てられた内田が、自ら開発を買って出た結果ですからね。
内田:ディテールやギミックにここまでこだわっちゃったのも、やはり『IGLOO』という作品のおかげですから。劇中では旧ザクに負けちゃった機体ですが、そのぶんプラモデルで機動性に優れた雄姿を楽しんで頂きたいです。もちろんリクエストを頂ければ、戦車や大砲なども『IGLOO』シリーズとして作っていきたいと思いますので、ぜひ応援してください!
岸山・狩野:オイ!(笑)
-------いや、本気で期待してますから。じゃあ最後に、MGヅダの開発状況についても、軽くお聞かせ願えます?
狩野:えーっ!?(笑)そうだなぁ……じゃあ、それは『IGLOO』が劇場映画かTVシリーズになったらってコトで!
岸山:サンライズさん、期待してます!(笑)




今西監督と井上プロデューサーヅダのテストショットを手にする今西監督と井上プロデューサー。実はこの時が初見だったのですが、こんな感じで手にしていじること約5分。製品チェックというよりは”欲しいモードバクレツ”ってなカンジでした。



(C)SOTSU AGENCY / SUNRISE