――今回デザインしたメカの中で印象的なものは? |
藤岡:第1話に登場する小型観測機ですね。最初は「画面にチラっとしか登場しない」と言われたのでデザインをしたら、主人公が乗り込むし、シャア専用ザクと出会うしで、完成した映像を見て驚きましたし、思わず舞い上がっちゃいましたね。
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――他のメカデザイナーの方々は、ミリタリーに関してかなり詳しい知識をもっていますが、そういった部分で先輩方から具体的にアドバイスを受けたりするんですか? |
藤岡:映画や本など、いろいろ見たり読んだりしておいたほうかいいということは言われますが、押しつけられる感じではないです。打ち合わせの時に、「こんなものが参考になる」というような話がでたりするので、「じゃあ、見てみようかな」という感じで。最近では『ライトスタッフ』という、宇宙開発と飛行機の音速突破が描かれた映画を、打ち合わせがきっかけで見直してみると、新たな発見がたくさんあって。それが、デザインのとっかかりになったりもしますし。だから、先生方に追いついて仕事をするためにも、自主的にそういった参考になる作品を拾って、見ていったりしていますね。
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――例を挙げると、どんな資料が今回のデザインに役立ったりしていますか? |
藤岡:カトキハジメさんが、『MS
IGLOO』用にムサイのディティールアップをされているのですが、CGで制作する際に、表面にさらに細かいディテールを付ける必要が出てきて、そうしたディテールアップを担当したんです。コムサイは、大気圏に突入する機能を設定画に起こすのに『スペースカウボーイ』という映画でスペースシャトルが大気圏に突入するシーンの機体表面から耐熱タイルが剥がれる描写を参考にしました。また、コムサイのコックピット内の要素に関しても、スペースシャトルが出てくる映画などをたくさん見て資料として役立てたり。監督からは「お芝居をさせるから、スイッチなどはたくさんあるといいけど、無駄なものを配置してはダメ」というアドバイスをいただきました。
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――いわゆる「操作しているらしさ」を表現するのに必要な要素を、実際の映像を見て理解を深めて描いたということですか? |
藤岡:ロボットだけでなく、乗り物は、人間と触れ合って動くものだし、人間がいなくては存在し得ないものじゃないですか。それを繋ぐものがコクピットだとすると、それまでの自分は外観しか考えてなかったなと、改めて確認できました。それまでは、コックピットなどを描いたことがなかったので、本当に勉強になりましたね。
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――今日はどうもありがとうございました。 |
藤岡氏に会い、お話をお伺いした印象は”物静かな人”だった。こちらの質問に真剣に耳を傾け、よく考えてからゆっくりと話し出すその姿から、藤岡氏の真面目な人柄が伺えた。
少年の頃からガンダム・ファンだったという藤岡氏は、『MS IGLOO』を通じて様々なものを吸収し続けている。すでに公開中の3話まででその成果を見ることが出来るし、以後製作される4話以降のフィルムには、さらに進化した”藤岡メカ”を見ることが出来ることだろう。
そういった視点で作品を見てみるのも、またいいのではないだろうか。 |
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