松田:モーションキャプチャーのデータでは、身体の全体的な動きはリアルに再現できますが、表情や手の指の動きまでは再現されていませんから、やはりいちいち作ってやらないといけないんです。そのへんは2Dアニメのアニメーターとまったく変わらないですね。アニメーターというと「絵を描く人」というイメージが強いかもしれませんが、むしろ実際は役者なんですよ。自分で動くわけではないけど、演技を作る人ですから。アニメーターの仕事現場を見ると面白いですよ。みんな自分で「こうかな?」とか、ヘンな動きしながら描いてますから(笑)。
とくに『MS IGLOO』は人物がリアルなCGですから、僕も鏡を見ながら表情のシワの寄り方をつぶさに確認したりとか。やはり、2Dアニメは記号表現そのものなんですよ。最近はリアルタッチの作品も増えてはいますが、それでも例えば「ニッと笑う」とき口元の動きなどは、3Dでやっちゃうと俯瞰で撮ったら怒って見えてしまったりとか。そういうのをどうやって3Dのリアルなキャラに置き換えていくかが課題でしたね。常日頃から研究していたつもりではあったんですけど、やはり記号表現に慣れすぎている部分は否めなくて「こんなに描けなかったかなぁ」と思うほどでした。
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