山根:いわゆる”ガンダム文脈”から外れているところが、今回の『MS
IGLOO』というシリーズの面白いところですよね。そうした企画意図というか、ガンダム作品の新しい試みがすごく魅力的で。実は、仕事を頼まれた当時は、すごく忙しい時だったんですが、作品の意図を聞いてぜひやらせてもらいたいと思いましたね。
荒牧:僕も当時のスケジュールを振り返ると、忙しい時と重なっていて、「よくあの時にやれたな」という感じですね。悩んだ点といえば、ジオン軍の兵器らしさを出しつつ、元が連絡船という設定とマッチさせるかという点ですね。ジオン軍の艦船のデザインラインってあるじゃないですか。
――:船首の部分なんかは、そういったイメージを出しているんですか?
荒牧:そんなに意識はしていないですけど、船首の部分を見て出渕さんが「これ、チベみたいだね」と言ってくれたのでそれだったらOKだなと。
山根:さすが、スーパーバイザーですね(笑)。
荒牧:ガンダムという作品は、デザイン文脈がすでにできあがってる作品なので、その中に「あってもおかしくない」という存在になるように気をつけました。
山根:ヨルムンガンドでは、先ほども言った液体金属で冷却するということを考えた時に、どうすれば効率良く冷却できるか悩んで、最後の全体のフォルムを決定する時に砲身の横に冷却用のパイプを這わせるようにしたんです。それがザクの動力パイプに近いイメージになって、機能としての理屈から考えたディテールなんだけど、結果的にジオンの兵器としての共通項になったので良かったですね。あと、むき出しのコントロール台もジオンっぽいかな。