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Interview

今西隆志氏
荒牧伸志氏x山根公利氏
松田剛吏氏
藤岡建機氏
永瀬唯氏
出渕裕氏
久保聡氏
Taja氏
大橋恵氏
大熊朝秀氏x井上幸一氏
大野木寛氏
スーパー・エキセントリック・シアター
スーパー・エキセントリック・シアター
川口克己氏
今西氏×井上氏×久保氏
小畑正好氏
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Event

声優コメント

打ち上げレポート



スーパー・エキセントリック・シアター
 座長・三宅裕司氏が率いる日本屈指のエンターテインメント集団「スーパー・エキセントリック・シアター」(以下SET)を知らない人は、たぶん日本にはいないだろう。だがそのSETメンバーが、『MS IGLOO』スタッフの一員だというのは、知らない人も多かったのでは? すでに予告でもお伝えしたとおり、本作のモーションキャプチャー・アクターは、SETの野崎数馬氏、長谷川紀子氏、田上ひろし氏、宮内大(ゆたか)氏の4氏なのだ! 今回は遂に、そんな4人の俳優陣にご登場いただき、知られざるモーションキャプチャーの現場からガンダム談義まで、存分に語っていただいた。前・後編でお送りするハイテンション・インタビュー、まずは前編からスタート!(本文中敬称略)

やっぱり世代の共通語?
SETメンバーの「ガンダムとワタシ」

――まずは読者の皆さんに向けて、役名と自己紹介からお願いできますか?
野崎:主人公マイのモーションを担当した、野崎数馬です。
長谷川:長谷川紀子です。ヒロインのモニク・キャデラックをやってます。あ、ヒロインでいいんだよね? ヒロインなの?
野崎:いやまあ、ヒロインなんじゃない?
長谷川:そっか。ヒロインです!(笑)
田上:えー、影の主役と言われている(一同笑)艦長をやってます、田上ひろしと申します。
宮内:主役がマイで、影の主役が艦長?(野崎、田上両氏、頷く)……本当の主役、宮内大です(笑)。毎回登場するゲスト主役を、年齢性別を問わずやらせて頂いてます。
野崎:もう何回ぐらい死んだんだっけ?
宮内:それはもう、話の回数ぶん!
――えーと……皆さん、「さすがSET!」みたいなテンションですね。ただ、そのSETさんと『ガンダム』、それに「モーションキャプチャー」って、なかなかイメージが結びつかないんですが。皆さんはこれまで、『ガンダム』作品はご覧になっていました?
宮内:僕と数馬は、完全にガンダム世代ですよ。おかげで僕の部屋なんかもう、そこらじゅうガンダムだらけで。もちろんガンプラも、並んで買ったクチです。
――ということは、年季の長いファンですね。
野崎:そうです。いわゆる「ファースト世代」ですね。
宮内:やっぱり一番好きなのは最初の『機動戦士ガンダム』で、オモチャ関係もそれ中心です。よく二人で、食玩のダブリとか交換してますよ。
長谷川:あー……(と言いつつ、宮内・野崎両氏を凝視)。
野崎:あ、いま「またはじまったよ!」とか、思ったでしょ?(笑)
――つまり長谷川さんは、こういうマニアトークを一歩引いて見てる役、みたいな?
長谷川:私もう、まーったくわかんないんですよ! 稽古場でこの二人が「コレやるよ」とか、オモチャの交換してるの見ると「あー……なるほどぉ」って。ゴメンナサイ!(一同爆笑)でも、私も『ガンダム』はお兄ちゃんが好きでしたから、一緒に観てはいたんです。ホラ、あの人とか好きでしたよ。あのカッコイイ人! 誰だっけ……そう、シャア! 飲み屋で呑んでるシーンとか、カッコよかった。
宮内:『IGLOO』にも、一回だけ出てきたよね。
長谷川:そう。だから私、すごく楽しみにしてたんです。「シャアに会える!」って。結局キャディラックは会えなかったんですけどね。
野崎:俺は会ったもんね! 目が合ったって言うの? ホント、近所に住んでてよかったよ。
宮内:住んでない住んでない!(笑)
――田上さんはいかがです?
田上:もちろん「ファースト世代」!……なんですけど、ちょうどその頃の僕は高校生で、アパート暮らしをしてたんです。で、当時の学生にとってはテレビが高級品だったから、一人暮らしをはじめて10年以上も、持ってなかったんですよ。おかげで同級生にはハマってるヤツがいっぱいいたのに、僕だけ乗り遅れちゃって。今まではキャラクターの名前とか、断片的なことしか知りませんでした。ところが、実は『ガンダムSEED』の放映時に、上戸彩ちゃんとガンプラのCMに出演させてもらうことになりましてね。上戸彩さんと弟さん役の子が、いわゆる「新しいファン」の世代で、僕のお父さんがファースト世代っていう設定で。プラモをまえに、鼻の穴おっぴろげて興奮しながら説明したりしてね(笑)。おかげでかなり詳しくなりましたよ。紹介したプラモデルとかも、ほとんど頂いたし。以来ガンダムとは、いろいろとご縁がありますね。

「ロボット役」じゃありません!
顔も声も込みの演技方針

――一方のモーションキャプチャーについてなんですが、いったい今回のお仕事は、どういう経緯でSETさんに?
田上:そもそもは、『MS IGLOO』のCGスーパーバイザーである小畑さんと、ウチのメンバーが一緒にCGのお仕事をさせていただいたことがありまして。そのつながりで、お話が来たんじゃなかったかな。
――では皆さんも、モーションキャプチャーのご経験がおありで?
野崎:いえ、僕は元々がJAC出身な関係で、やったことありますけど、ほかの3人はないよね?(頷くお3方)その僕にしても、今まではアクション系の被りモノ専門だったんです。『バイオ・ハザード』の、人じゃないモンスターとか。だから今回も、『ガンダム』で主役って聞いて「今度はロボットか!?」って(笑)。
田上:やっぱり最初は、「ガンダムでモーションキャプチャーって、ナニやるんだろう?」って思いますよね。「俺、背は高いけど、そこまでデカくはないぞ?」とかさ(笑)。
野崎:まあ蓋を開けてみれば、やっと人の役だったんですけど。と言うか、ズバリその「人の役」という部分が、起用の理由だったんだと思います。実はですね、『IGLOO』のモーションキャプチャー現場では、身体の動きだけでなく、顔や声の芝居までやってるんですよ!
――えっ! そうなんですか?
野崎:ええ。今までは僕も、動きの部分しかやったことなかったんですけど、今西監督が「ビデオに撮っておいて、あとでCGの表情作りの参考にするから」って。
宮内:モーションにしても、そうすることで「息遣いの動きとかも、ちゃんと絵に乗るんだ」と。それが、いままでと違うところなんです。
田上:そういう「お芝居も込みでのモーションキャプチャー」だっていうんで、我々SETに白羽の矢を立てて頂いたんでしょうね。僕も最初は、モーションキャプチャーって動きを作るだけのものと思ってたから、言い方は悪いですけど「中は誰でもいい」程度に考えていたんです。なのに「台詞に感情を込めろ」とか「表情も作れ」って言われて、ずいぶん戸惑いましたよ。でも実際に、例えば激昂するシーンや激しい台詞のぶつかり合いがあると、肩が動いたりとかの、微妙な動きが出てくるものなんですね。
宮内:そうそう。まったく監督の仰る通りで、「これは僕らも、しっかり芝居をしていかないと!」って。
田上:だから2話目以降の現場では、モーションキャプチャー云々はあまり意識しなくなりました。もう、映画撮ってるような気持ちで演じてますよ。そうしないと、OK出してくれないし!(笑)

餅焼き網までフル活用!?
知られざるキャプチャー現場の実態

――ただ一方、やはりモーションキャプチャーならではのご苦労もあるかと思うんですが?

撮影中は、センサーの位置や特殊カメラの位置がズレてしまうと一大事。撮影の合間には、スタジオのスタッフが入念にチェックを行う。

特殊カメラの赤外線に照らされながら、なにやら相談中の宮内氏と長谷川氏。演技プランの確認中?

野崎氏の右手にご注目! コレが現場で「マイのクリップボード」がわりに使われた、餅焼き網さまの雄姿だ!

ヨーツンヘイム、ブリッジ内の撮影風景。物流パレットと木枠で作られた艦長席は、あとでCGに置き換わる。俳優陣が見ている先にも、実は壁があるだけなのだ。

スーツに取り付けられた白い丸が、モーション・センサー。スタジオの各所に設置された赤外線センサーつきの特殊カメラが、この球の動きを記録することで、動作の再現が可能になる。手前の木の棒は、手すりのかわり。
野崎:そうですね。まず気をつけなきゃいけないのが、前日呑み過ぎるとキャプチャー用のスーツが入らないこと!(笑)
――あのセンサーがついたスーツって、現場に入ったら着っぱなしなんですか?
宮内:そうです。朝、現場に入ったらまず着替えて、一日着っぱなしですね。でもあとは、普段から一緒にいるメンツですから、その格好で芝居をするだけです。強いて違いがあると言えば、無対象の芝居が多いことかな? 「このへんに○○があるつもりで演じてください」とか、「モニターはもうちょっと左のほうにありますんで」とか、そういうことはよくあります。人間を相手に芝居をするのとは勝手が違いますから、難しいですね。
――セットにしても、木の枠を手すりに見立てたり、艦長席を物流用パレットの上に置いたりしてると伺いましたが?
宮内:ええ。それをあとで、CGに置き換えるわけですね。こちらは対象としてのモノがちゃんとあるんですが、今度は寸法合わせが重要になります。ちゃんとカメラのフレームに入るように代用品を置いて、それに合わせて芝居をしないと、あとでCG化するときに困りますから。
田上:そのへんは大道具小道具の方が、毎回苦労してますよ。だって、完成したCGでマイが持ってるクリップボードがさ、現場では餅焼き網なんだもん!(笑)
野崎:そうそう! サイズが同じぐらいだったんでしょうね。あと、これは「モーションキャプチャー」って言うより「ガンダム」ならではの難しさなんですけど、いままで喋ったこともないような戦争用語とか固有名詞が、すごく多いんですよ。
宮内:「グラナダ」がね! 結構言いづらいんです。「グラナダ」だけならいいんだけど、「グラナダが〜」って文章になっちゃうと、途端に。
田上:でまた、そういうユニークな固有名詞が、一行のなかに固まったりするんだよね。「誰が考えたの、コレ?」みたいな(笑)。皆さんがご覧になる時には、声もプロの声優さんが吹き替えてますから、台詞の歯切れも非常にいいんですけど。我々は苦労するね。
――あとで声優さんがやりやすいように、多少オーバーに演じたりは?
宮内:ありますね。カメラのフレームに収まる範囲で、身体を大きく使うっていうのは。
田上:キャラクターの感情を、顔だけじゃなくもっと強調するために手を入れるとか、そういうことはしますよ。
――マイとかキャディラックは、いかにも外人らしい身振りに見えますね。
野崎:まあ、僕はもともと向こうの生活が長かったんで。
――あ、そうだったんですか。
野崎:ええ。いや、九州ですけどね(一同爆笑)。まあ、それは監督の指示通りなんですよ。
田上:そう言えば、マイってナニ人なの? アメリカ人?
野崎:オリヴァーってぐらいだから、アメリカ人じゃないでしょ。
宮内:いや、それはもちろんジオン公国人ですよ!
長谷川:あと、この作品ではあらかじめ絵コンテがあるんで、それに合わせて動きを考えるんです。でも、「ここは両手の動きなんだろうな?」って思ったら、監督から「すいません、そこは片手のつもりで描いてまして」とか(笑)。
宮内:そう言えば、絵コンテがあるっていうのも僕らの仕事では珍しいですね。CMとかではありますけど、舞台はないし。
――身体の動きが大きいのは、舞台に似てるように思えるんですけどね。
宮内:どうだろう。そう?
田上:そうでもないんじゃない?
野崎:僕らの舞台はまあ、割とフツウですからね。オーバーなのは、三宅座長ぐらいじゃない?(笑)
田上:まあ、あの人の動きはモーションキャプチャーだからね(爆笑)。

【プロフィール】
野崎数馬野崎数馬(のざき・かずま)
熊本県出身。JAC(ジャパン・アクション・クラブ)のメンバーからフリー俳優を経て、のちにSETに入団。現在はTBS『はなまるマーケット』リポーターほか、コントライブの演出などでも手腕をふるっている。趣味は体操、アクション、時代殺陣、フィギュア集めなど。
長谷川紀子長谷川紀子(はせがわ・のりこ)
埼玉県出身。舞台上で連続側転14回(!)をこなす、エネルギッシュなSETメンバー。NHK教育「日本語なるほど塾」、 P&G「JOY」のCMなどで、お茶の間にもお馴染み。趣味は編物?
田上ひろし田上ひろし(たがみ・ひろし)
徳島県出身。俳優、司会、MC、リポーターと、多彩な活動を誇るエンターテイナー。『動物のお医者さん』をはじめ、TVドラマへの出演も多いが、やはりガンダム・ファンには「上戸彩のお父さん」を演じたプラモデルのCMでお馴染み。趣味はスキーとサーフィン。
宮内大宮内大(みやうち・ゆたか)
千葉県出身。NHK教育「日本語なるほど塾」への出演のほか、SETの公演や自らも出演するダンス・イベントのプロデュースなども手がける実力派。ガンダム・ファンであると同時に『スター・ウォーズ』マニアでもあり、コレクション・グッズでお部屋は大変なコトになっているとか。

SET公式HPアドレス http://movie.nifty.com/set/


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