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プロデューサー:今西隆志氏×井上幸一氏×久保聡氏 3巨頭対談!
今西隆志氏×井上幸一氏×久保聡氏『MS IGLOO』の新章、『機動戦士ガンダム MS IGLOO 黙示録0079』のスタートにあわせ、本webページ名物のスタッフインタビューもさらにパワーアップ!。その記念すべき第一回は、サンライズの井上幸一氏と、監督も兼任する今西隆志氏、そしてバンダイビジュアルの久保聡氏という、3人のプロデューサ−による巨頭特別座談会だ。待望の新章とその見どころについて、アレコレ教えてもらいましたぞ!(本文中敬称略)

マニアックなテイストが世間を侵食?
『黙示録0079』の新たな“任務”

――いよいよ待望の『MS IGLOO』新章がスタートしますが、まずはその概要からお聞かせください。サブタイトルは変わっていますが、主人公はマイであり603技術試験隊なんですよね?
久保:ええ。位置付け的には海外ドラマのファーストシーズンとセカンドシーズンのような感じで、『一年戦争秘録』のテイストを継承しつつ、一層スケールアップした作品になっています。ですから前作からのファンの皆様には「大変永らくお待たせいたしました!」という感じですし(笑)、一方で初めての方にも充分楽しんで頂けると思います。
――今回はリリースのスタイルが、前シリーズとは大きく異なりますね。
久保聡氏久保:『一年戦争秘録』はまず松戸のバンダイミュージアムで上映を行い、その後はローソン限定でDVDを発売しました。もともとが松戸限定だった作品ですから、ビデオグラムを手に入れるにも一種のイベント感を重視したかったんですよ。ただ今回は、ひとりでも多くの人に観ていただこうということで、全国のDVDショップで購入可能なOVA展開としました。もちろん、レンタルでもご覧頂けます。
今西:『一年戦争秘録』の3本は、松戸で9ヵ月も上映しましたからね。これは決して短い時間じゃなくて、それによってひとつ役割は終えたわけです。「じゃあどうしようか」と考えたとき、更なるステップとしてこういう形を選んだわけです。
井上:「限定解除」というかね(笑)。
久保:松戸でのファースト・ステージで、ほかのガンダム作品と同じように展開する足掛かりは、充分つけたんじゃないかと。もちろんそのためのフォローとして『一年戦争秘録』もDVDレンタルがスタートしますから、未見の方は「予習してから観てね!」って感じです(笑)。ライトなお客さんにも、手にとってもらう機会は増えるんじゃないかな?
――つまり、「オヤジキラー」と呼ばれた前シリーズのテイストが、広く一般にまで浸透して行くワケですか!?
今西隆志氏今西:もうね、「コレを楽しめた人は、将来立派なオヤジになれますよ」と!
井上:いやいやいや、そればっかりでもないでしょ!(笑)なんかこのインタビューでは、すぐ「オヤジくさい」とか「そのへんは飲み屋で」みたいな話になるけどさ。
今西:でも基本的に、普段想定するのと違う不思議なファン層を持った作品には違いないんじゃない? そういうコアなファンを切り捨てる気は、まったくないしさ。
井上:まあ、プラモとかを作る層に支持されてる部分は、かなりあるからね。年1回の造形イベントで、当日版権のヅダやヒルドルブの立体物が、ズラズラ並ぶようなさ(笑)。その面白さは、確かに一種独特かもしれない。
久保:受け手との距離が、非常に近い作品なんだと思うんですよ。マニアックな設定も含め、「みんなコレ好きでしょ?」っていう人に向けて発信していたようなところがあって。ただその一方、いまはガンダム自体がカルチャー化していて、若者のライフスタイルに普通に入り込んでますからね。友達同士やカップルで観ても、それはそれで違和感ないんじゃないかな。
今西:マジメな話、例えば彼氏がガンダムマニアで、彼女がそれに付き合って観てるぶんには、意外と大丈夫みたいですからね。普通のアニメファンにも観るチャンスがちゃんとあって、もちろん「観るものがない」って言ってたホビー系のファンも広く鑑賞できるようになるっていうのは、やはりイイことです。
井上:まして今回は、キャラクター的にも観やすくなってるんじゃないの? いままではオッサンばっかり出てきてたけど、『黙示録』の1話に出てくるのは若いお兄ちゃんだし。顔だって一番ハンサムだと思うよ。
今西:皺のない顔は、CG作るのが難しいんだけどなぁ(笑)。

一年戦争終結をまえに
物語は大きなうねりを迎える

――物語的には前3作の段階から、すでに6話に渡る構想があったのですか?
井上幸一氏井上:『一年戦争秘録』は「基本3話」という形でスタートを切りましたが、みんな「3話だと一年戦争ぜんぶは描けないよね」とは思っていました。だから連邦がMSを持つところまでで終わっていたんですが、一方主人公たちは12月まで戦い続けているはずで、「そこまでやるんだったら6話構成になるよね」という話は、当初からしていましたね。
今西:ただ、はじめからカチっと「6本!」と決めちゃって、松戸での上映ぶんが途中で終わるような形だったら、観に来てくれた方に失礼じゃないですか。ですから『一年戦争秘録』でも、ちょっとした区切りはついているわけです。あくまで漠然と「6本やりたいなぁ」っていう構想があっただけですね。
久保:前向きに考えれば、作ろうと思えばエピソードのあいだあいだに、何本でも作れる話ですからね。「戦火の中に散っていった男たちのドラマ」ということであれば。
井上:すでに『ガンダムエース』のコミック版でも、『一年戦争秘録』とは別のエピソードが描かれてますからね。
久保:ただ、一年戦争の大枠を追って行くなかでは、『黙示録』の3本が一番オイシイところだと思うんです。戦争の終焉に向けて盛り上がってくる、料理で言えば煮こごりの部分(笑)。実際、完成した第1話を観ると、前3作で培った演出なども円熟味を増していて、ドラマもキャラクター描写も厚味のあるものに仕上がっています。僕は皆さんと一緒に観る機会がなくて、ひとり寂しく観たんだけど、もう観た後すぐ今西さんに「感動しました」って電話しちゃったもん(笑)。
今西:そのへんは前作を通して、テイストが煮詰まってきたからね。
――では、具体的な見どころと言うと?
今西隆志氏×井上幸一氏×久保聡氏今西:とりあえず今度のシリーズでは、マイたちも前へ前へと出て行かざるを得なくなっていくでしょう。
井上:確かに前シリーズはロートルの話が多かったけど、そりゃ戦争も末期になれば、ベテランはどんどん死んじゃってるもんね。
今西:ちょっとだけ例を出すと、今までのゲストキャラクターはみんなマイより歳も階級も上で、そいつらが意地を張る姿に自分にないものを見出していたわけですよ。ところが、今回の第1話のゲストキャラクターはマイより歳も若いし、階級も下なんです。ですからこれまでとは言葉づかいなんかも違うし、「面倒見てやろう」っていう雰囲気があります。人間ドラマの関係性が、ちょっと変わってきてるのね。そういう部分から、彼らのうえにも終戦が迫ってきている感じが出ればいいな、と思っています。それと、実は「黙示録」というタイトルは、久保さんの直感的イマージネーションで誕生しているんだけど、コレにはみんな滅びのニオイを感じるでしょ?(笑)でも、辞書をひいてその意味をよく調べてみれば、また違う予測も立てられるかもしれないですね。
久保:連邦の白いのは出てくるの?
今西:それはまあ……。
井上:はいそこまで! あとは観てのお楽しみです(笑)。
――じゃあ、連邦の白いの以外のメカに関してはいかがです? 終戦間際のジオンには、秘密兵器を作る余裕もあまりないと思うんですけど。す。
今西:それはまあ、戦争も末期らしい兵器が出てきますよ。ヒロイックさなんかまったくないんだけど、さりとて活躍しないわけじゃない、というような。
井上:『一年戦争秘録』の冒頭で、コロニー落としを見たマイが「なんでもかんでも兵器にしてしまう」みたいなことを言ってたでしょ? それは戦争末期になれば、一層エスカレートしていくわけです。すでに発表されているゼーゴックなんかも、その典型ですね。余裕なんかまったくない、IGLOOらしい兵器が出てきますんで、楽しみにして欲しいです。

井上幸一氏 今西隆志氏 久保聡氏

更なる進化を遂げた
ガンダム新世代映像を見よ!

――しかし、ドラマ的にもメカ的にも盛り上がってくるとなると、CGに関してはまた大変そうですね。
今西隆志氏×井上幸一氏×久保聡氏今西:今度のは内容が濃いですから、作業は大変ですよ。画面中、人間だらけになってたりもするし(笑)。
井上:でもその甲斐あって、すでに完成した第1話を観た人からは、「いままでのガンダムにはなかった画だね」とか「こういう画が観たかったんだ!」って声も寄せて頂いてます。「ガンダムは手描きでなきゃダメだ!」っていう頑固なファンの方にも、ご好評をいただけたし。それがどんな画かは、まあ実際に観てのお楽しみだけど、とりあえず「爽やかな画も結構あるよ」とは、言っておきたいですね。
久保:そう言えば、こないだ出渕さんに会ったら、開口一番「アレ絶対、久保君の好きな特撮のノリだよね?」って言われましたよ(笑)。「あの○○の**シーン、あの演出、モロに特撮映画なんだよ! 久保君ならわかるよね?」だって。
井上:でもそれ、ある意味正しいよ。確かに東宝特撮とかのテイストも、汲み取ることはできるはずだから。
久保:確かに「ここまでできるんだ」って、改めてわかった部分はありますよね。
今西:ね? あのCG嫌いだった出渕さんにそこまで言って頂けたんだから、またひとつ功徳を施したわけですよ!(笑)
井上:いや、だからそういう抹香臭い表現はヤメましょうよ!(笑)ただでさえオヤジくさいとか言われてるんだからさ。
久保:でも、そのぐらいインパクトのある画が作れたってことですよ。いままではゲームのオープニングムービーしか観たことなかった人とか、たぶん度肝抜かれるね!(笑)ライトな人たちに「ガンダムでもこういうモノがあるんだ」っていうのを知らしめる作品にはなると思います。
――期待が膨らみますね。では最後に、新章を楽しみにしているファンの方へ、一言メッセージをお願いします。
久保:とにかくガンダムのなかでも稀有な作品だと思うので、ぜひその可能性を一緒に体験して頂きたいと思います。それと、主題歌も新しくなっていて、今回もTajaさんに歌って頂きました。前シリーズの主題歌とのカップリングでマキシシングルが発売されますから、ことらもどうぞよろしく。
井上:『黙示録』っていうサブタイトルは、すごく暗示的ですよ。ファンの皆さんには、ガンダム映像の未来をご覧いただけると思います。いままで溜め込んだぶん、新情報も次々発信していきますから、チェックしてみてください。
今西:とにかくいまは、こうして新作について発表できて、すごく気持ちがいいです(笑)。あとは覚悟を決めて、作品の内容に集中していきたいと思いますので、楽しみにしていてください!


(C)SOTSU AGENCY / SUNRISE